お知らせ・コンサルティングコラム

株式会社マスネットワーク > コンサルティングコラム > 事業再構築補助金 第12回公募の改訂ポイント

事業再構築補助金 第12回公募の改訂ポイント

 4月23日に中小企業庁が管轄する事業再構築補助金の第12回公募が開始しました。

 本補助金は2023年秋に行われた行政事業レビューで外部有識者によって補助金の在り方が再検討されました。

 この結果、第12回公募では今なお新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者への支援およびポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者への支援に重点を置く内容となっています。

 今回の公募からは過去公募回と比べて公募要領が大幅に変更されています。これまでの公募回と比較して変化した点をまとめていきます。




① 事業再構築補助金第12回公募 概要

◆公募期間

 公募開始:2024年4月23日㈫

 応募締切:2024年7月26日㈮ 18時

 採択発表:2024年10月下旬~11月上旬(予定)


◆補助対象要件

1. 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること。

2. 事業計画書を金融機関等(銀行、信金、ファンド等)や認定経営革新等支援機関と策定し、

  確認を受けていること。

3. 補助事業終了後3~5年で付加価値額を年平均成長率3.0~5.0%以上増加させること。

  または従業員一人当たり付加価値額を年平均成長率3.0~5.0%以上増加させること。

  (なお、定められた成長率はそれぞれ事業類型により異なる)

上記1~3をすべて満たし、さらに事業類型ごとに別途設けられた補助対象要件をそれぞれ満たす必要があります。


② 過去公募回からの変化

◆公募枠の減少 6枠から3枠へ集約

 前回の第11回公募までは「成長枠」「グリーン成長枠」「産業構造転換枠」「サプライチェーン強靭化枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」「最低賃金枠」の計6枠で公募を行っていました。しかし今回からは3枠に集約されます。こちらは枠を集約することで従来よりも事業者による応募および補助金事務局での審査を簡素な形に変える狙いがあるとみられます。

 また枠ごとに異なる類型が用意されており、事業者は5つの事業類型の中から応募する類型を選ぶことになります。各枠・類型の概要は以下の通りです。


「成長分野進出枠」

⇒ 成長分野への事業再構築やグリーン分野での事業再構築を行う事業者への支援枠


(A)成長分野進出枠(通常類型)

概要   ポストコロナに対応した、成長分野への大胆な事業再構築にこれから取り組む事業者や、
国内規模縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の事業者が取り組む事業再構築を支援する。
補助金額従業員数20名以下:100万円~1,500万円(2,000万円)
従業員数21名~50名:100万円~3,000万円(4,000万円)
従業員数51名~100名:100万円~4,000万円(5,000万円)
従業員数101名以上:100万円~6,000万円(7,000万円)
補助率中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等 :1/3(1/2)
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合

こちらの類型は取り組む事業またはすでに行ってる事業に要件があります。

① 取り組む事業の市場規模が過去~今後のいずれか10年間で10%以上拡大する業種・業態に属している

② 現在の主な事業の市場規模が過去~今後のいずれか10年間で10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種とは別の業種・業態の新規事業を実施する

どちらの条件であっても該当する業種・業態は補助金事務局ですでに指定(https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/seichowaku_list.pdf 参照)されており、いずれかに属する場合もしくは応募時に要件を満たす業種・業態であることを認められた場合は要件達成となります。


(B)成長分野進出枠(GX進出類型)

概要   ポストコロナに対応した、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組をこれから行う事業者の事業再構築を支援
補助金額従業員数20名以下:100万円~3,000万円(4,000万円)
従業員数21名~50名:100万円~5,000万円(6,000万円)
従業員数51名~100名:100万円~7,000万円(8,000万円)
従業員数101名以上:100万円~8,000万円(1億円)
補助率中小企業者等:1/2(2/3)
中堅企業等 :1/3(1/2)
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合

こちらの類型はグリーン成長戦略(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/pdf/green_koho_r2.pdf 参照)で定められた課題の解決に役立つ事業に取り組む場合に応募対象となります。例えば、洋上風力設備部品の製造や水素ステーション部品の製造などが想定されます。単純にエコな取り組みをすれば認められるというわけではないことに注意が必要です。他の事業類型よりも補助金額が大きいというメリットはあるものの、課される要件のハードルが比較的高い類型です。


「コロナ回復加速化枠」

⇒ コロナで抱えた債務の借り換えを行っているなど今なおコロナの影響を受ける事業者への支援枠


(C)コロナ回復加速化枠(通常類型)

概要 今なおコロナの影響を受け、コロナで抱えた債権の借り換えを行っている事業者や、事業再生に取り組む事業者の事業再構築を支援
補助金額従業員数5名以下:100万円~1,000万円
従業員数6名~20名:100万円~1,500万円
従業員数21名~50名:100万円~2,000万円
従業員数51名以上:100万円~3,000万円
補助率中小企業者等:2/3(3/4)
中堅企業等 :1/2(2/3)
※()内は補助金額がそれぞれ以下の場合の補助率
従業員数5名以下:400万円まで
従業員数6名~20名:600万円まで
従業員数21名~50名:800万円まで
従業員数51名以上:1,200万円まで

こちらの類型はコロナの影響が今なお続いている事業者に向けた類型で、今回の公募から新設された枠です。以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

① コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていること【コロナ借換要件】

② 再生事業者(以下参照)であること

(ア)中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中の者

(イ)中小企業活性化協議会等において再生計画を策定済かつ再生計画成立後3年以内の者


(C)コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)

概要コロナ禍が終息した今、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者の事業再構築を支援
補助金額従業員数5名以下:100万円~500万円
従業員数6名~20名:100万円~1,000万円
従業員数21名以上:100万円~1,500万円
補助率中小企業者等:3/4(2/3)
中堅企業等 :2/3(1/2)
※()内は【コロナ借換要件】を満たさない場合

こちらの類型は先述のコロナ回復加速化枠・通常類型の【コロナ借換要件】に加え、従業員の賃金に関する要件があります。2022年10月~2023年9月までの間で、3か月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員の10%以上いる場合、最低賃金類型の対象となります。


「サプライチェーン強靭化枠」

⇒ 国内サプライチェーンおよび地域産業の活性化に取り組み事業者への支援枠


(E)サプライチェーン強靭化枠

概要   ポストコロナの経済社会において、海外で製造等する製品の国内回帰や地域のサプライチェーンにおいて必要不可欠な製品の生産により、
国内サプライチェーンの強靭化及び地域産業の活性化に資する取組を行う中小企業等に対する支援
補助金額1,000万円~5億円以内 ※建物費がない場合は3億円以内
補助率中小企業者等:1/2
中堅企業等 :1/3

サプライチェーン強靭化枠は他の枠とは要件や対象経費等が大きく異なります。例えば、本枠は補助対象経費が建物費と機械装置・システム構築費に限られている・補助事業期間が交付決定日から28か月以内(他の枠は通常甲府決定日より12か月以内)であるなどです。サプライチェーン強靭化枠は独自の公募要領が出ていますので、詳細はそちらをご参照ください。


◆事前着手制度の廃止

 「事前着手制度」は第12回公募から原則廃止となります。「事前着手制度」とは補助事業の採択及び交付決定前に支出した経費を補助対象にできる制度で、これまでは交付決定後に事前着手申請を行い補助金事務局の承認を得ることで本制度の利用が認められていました。

 しかし今回の公募からはこちらの制度が原則廃止とされます。なお例外として、次の場合は事前着手が申請可能です。

① 第10回、第11回公募において、物価高騰対策・回復再生応援枠または最低賃金枠の補助金交付候補者として不採択となった事業者が、

  第12回公募において、コロナ回復加速化枠(通常類型)又はコロナ回復加速化枠(最低賃金類型)に申請する場合

② 第10回公募において、サプライチェーン強靱化枠の補助金交付候補者として不採択となった事業者が、

  第12回公募において、サプライチェーン強靱化枠に申請する場合

上記以外の場合に事前着手は認められず、交付決定前に契約、支払を終えた経費についてはすべて補助対象外になります。


◆コロナ債務を抱える事業者への加点措置

 全ての申請枠において、応募申請時にコロナ借換保証等で既往債務を借り換えている事業者に対し加点(コロナ借換加点)されます。この加点は過去11回の公募回ではなかったもので、今回から新たに追加されました。「コロナ借換保証等」とは伴走支援型特別保証(コロナ借換保証)やコロナ経営改善サポート保証など9つの制度を指し、これらを利用した事業者には優位に働きます。なお、コロナ回復加速化枠(通常類型)では必須要件となっています。




 およそ半年ぶりに公募が再開された事業再構築補助金ですが、過去回から多くの変更点があり、これまで以上に公募要領の読み込みが必要となります。

 初めて本補助金を検討する事業者様はもちろん、過去公募回で事業再構築補助金HPをチェックしたり公募要領を確認したりと、

申請を検討されていた事業者様であってもこれまでとは要件が大きく異なるため、戸惑われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 また、本稿でご紹介した内容もごく一部であり、全容はやはり公募要領を確認しなければわからない部分が多くあります。

  弊社では事業再構築補助金をはじめとした各種補助金の申請支援を行っております。

「事業再構築補助金第12回公募に応募してみたいが条件が当てはまるかわからない」「建物の建設や設備の拡充をしたいがどの補助金が使えるかわからない」「補助金を活用したいが申請が難しそう・忙しくて準備に手が回らない」などのご相談も承っております。

 コンサルによる補助金の申請支援にご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。

宮田さくら

お知らせ・コンサルティングコラム一覧

Contact

必須お問い合わせ内容
必須お名前
事業所名
必須電話番号(半角)
必須メールアドレス
ご住所
  1. 郵便番号 郵便番号を調べる
  2. 都道府県
  3. 市区町村
必須個人情報保護方針
個人情報保護方針に同意する
個人情報保護方針

成迫会計グループ 成迫会計グループ