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経営者の皆様の中には、従業員に権限委譲を申出ても拒否されたり、指示待ちの姿勢が変わらなかったり、
場合によっては口うるさく言うことで従業員が退職してしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回のブログテーマは組織・人事というテーマで書いてみたいと思います。
時代の流れが激しく、転職や副業など個人の働き方やビジョンが多種多様になっている現代において、これまでのトップダウンで統率性を重視する組織体制では限界が生じてきているように思います。
※統率性を重視する組織体制を『統率型』ということにします。
『統率型』の特徴として意思決定が早く、経営における方向性の一貫性があり、管理がしやすいということがあります。
『統率型』は大企業でも取り入れられていますが、多様性が広がる現代において個人の価値観とのミスマッチが生まれてきています。
また資本力に劣る中小企業が大企業と同じスタイルを取ると、給与面や福利厚生面で劣るため、採用難や離職という問題が大企業以上に発生しやすくなると言えます。
そこで参考にして頂きたい組織体制が柔軟性を重視する組織体制です。
※柔軟性を重視する組織体制を『柔軟型』ということにします。
『柔軟型』の特徴として、社員のエンゲージメントが高い、主体性を重視することで考える力が付き人材育成につながる、創造性(新しい発想)が生まれやすいといったことがあります。
また、『柔軟型』のキーワードとして、【心理的安全性】、【ミッション・ビジョン主導の行動】、【権限移譲】、【自走社員】、【多様性の尊重】などがあります。
今回はその中の【心理的安全性】について話をしたいと思います。
【心理的安全性】とは、対人関係のリスクを取っても大丈夫と信じられるような集団の心理状態のことで、ちょっとした思い付きや疑問があったときにためらうことなく率直にそれを口に出来たり、社員から飛び出したアイディアを肯定的に受け止め、真剣に検討するような空気感のことを指します。
【心理的安全性】は『柔軟型』の組織体制の土台であり、欠かすことの出来ないものです。
【心理的安全性】が確保された環境では、挑戦や創造が生まれやすく、個性を引き出す効果があると言われています。
それに対し『統率型』では、正解はトップや上司が持っており、組織内に逆らえない空気感や自由な議論が起きず、失敗=評価ダウンという恐怖からチャレンジ精神は低い傾向にあります。
これだけを見ると『柔軟型』が組織体制における最適解のように見えますが、『柔軟型』は経営理念やビジョンが重要で、理念が社員の自己実現が結びついていないと整合性が図れずチグハグになってしまったり、意思決定に時間がかかることが多く、全体最適が難しい等の運用面の難しさもあります。
さらには、企業のフェーズ(創業期・成長期・成熟期・衰退期)によっても、望ましい体制は変わるため、この組織体制でやっていけば間違いないということはありません。
個人的にはこれから数回に分けて記載する『柔軟型』の考え方を参考にして頂きながら、自社の課題解決に最適な組織・人事体制をじっくりと考えてみるきっかけにして頂けたらと考えています。
山中直樹