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「市場規模」と言われて、言葉は聞いたことがある経営者が多いと思いますが、実際にどのような数値でどのようにとらえれば良いかすぐにイメージするのは意外と難しいものです。
近年では補助金作成時にもある程度の市場環境への考察を求められることも多く、定性的に「そこそこの認知度があります」というだけでなく、定量的に「松本市ではシェア7.5%」などと言えた方が各ステークホルダーに説得力が増すことでしょう。
広い定義では、市場規模は特定分野や事業、商品での年間の販売額を指すことが多いです。
例えば、サバの缶詰であるサバ缶であれば、市場規模は日本全国で1年間に売れたサバ缶の累計金額とも言い換えることができます。
サバ缶の市場規模は約260億円ですが、これが大きいのか小さいのか理解し、経営判断に活かせる中小企業の幹部は少数派ではないでしょうか?
広義での市場規模を利用する場合は全国シェアで少なくとも数%以上になっている場合や商圏範囲が全国に及んでいる場合が有効です。中小企業ではそれに該当しないためにイメージしづらい数値になるのです。
しかし、広義での市場規模はデータの取得がしやすいといったメリットがあります。各調査会社や金融機関、行政資料などから全国市場規模はデータが取得しやすいです。「サバ缶 市場規模」などでGoogleで検索すると数分で欲しいデータにたどり着けることも多いです、ぜひ試してみてください。
狭い意味の市場規模では「ある商品に一人が年間に使用する金額」を指すこともできます。こちらは中小企業で使用しやすい指標になります。なぜなら中小企業では全国が対象市場ではなく、拠点当たりではごく限られた2~3市町村が対象市場になることがほとんどだからです。
例えば、松本市街地にあるサバ缶販売専門店は松本市・塩尻市・安曇野市で顧客売上の90%以上になります。この市場でサバ缶販売専門店を出店するとして、市場規模を算出すると以下のようになります。
1.一人当たりの年間消費量を計算する。
260億円(全国年間消費額) ÷ 1.25億人(全国人口)
= 208円/人(一人当たりの消費額)
2.地域消費額を計算する
208円/人(一人当たりの消費額)×240,000(松本市人口)=4992万円(地域消費額)
これで人口24万人の松本市でサバ缶は年間4992万円分消費されることが分かりました。
新しいサバ缶販売専門店が年商800万円だとすると、シェアの算出もできます。
3.地域シェアを算出する
4992万円(地域消費額)÷800万円(年商)=16.0%(地域シェア) となります
年商800万円だったサバ缶販売店は、全国シェアだと0.03%ですが、松本での地域シェアは16%です。
この数値になると、経営に対する立ち位置や今後の戦略やアクションに反映することが出来ます。補助金や事業計画、説明資料などで使えますので是非活用してください。
シェアに対するイメージや動き方などは様々な書籍などにありますので「シェア 戦略」などと検索して、アクションプランにつなげてください。
渡邊慶