成迫会計グループ
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前回は経営計画と経営改善計画とを比較することにより、経営改善計画の特徴について説明させていただきましたが、今回は経営改善計画策定支援の全体像のご説明をさせていただきます。
下図は経営改善計画策定支援の一般的なプロセスを示したものです。便宜的に左から順番に並べていますが、実際は順番が入れ替わったり、各プロセス間を行ったり来たりしながら進めていきます。
① 案件の概要把握
決算書・基礎資料の分析、事業概要のヒアリング等により、経営改善計画策定支援が可能か判断します。
405事業の場合、経営改善計画に対する債権者の同意が必要となりますので取引金融機関(特にメインバンク)の意向や方針を確認しておくことも重要です。
計画期間内での改善が明らかに見込めない場合等、お断りするケースも出てきます。
② 経営者の意思確認
経営改善計画策定における一番の当事者は経営者ですので、経営者の問題意識や経営改善に取組む意思があることが大前提となります。
また、経営改善は全社一丸で取り組むことが重要ですので、経営者を補佐する人材、従業員の協力も必要となってきます。
③ 経営改善計画策定支援のプロセス設計
経営改善計画策定支援に着手する際、経営改善の方向性、主な改善策と実現可能性、計画のレベル感、スケジュール等を考慮しプロセス設計を行います。あくまで仮説ベルにはなりますが、これが甘いと計画が絵に描いた餅となったり、計画が当初想定した期限内に完成しなかったりということが起こる可能性が高くなります。
④ 現状分析・解決すべき問題(窮境要因)の特定
計画を策定する上で大切なのは、現状をできるだけ正確に把握することです。表面的な問題だけでなく、その背景にある要因、その事業者の経営資源と消費者(買い手)・競合・外部環境等との関係性、これまでの経緯等もあわせて掘り下げて分析します。
これを大きく外すと、せっかく策定した改善策が実行されない、実行しても効果があまり出ないということが生じやすくなります。
⑤ 経営改善の方向性の検討
計画期間終了時のあるべき姿(事業規模や業績、組織体制等)や、計画期間内に取り組む主要施策はできるだけ早い段階でイメージし、課題を経営者と共有することで、経営改善計画の検討・策定がスムースに運びます。
主要施策は短期的に取り組むこと、中長期的に取り組むことに分けて考え、短期的に取り組むべきことは計画の検討段階から着手するケースも多いです。
⑥ 計数計画・アクションプラン、根拠資料等の作成
経営者と何回か面談したり、事業内容を分析したりしたのち、計画期間における目標となる計数計画やアクションプランを策定します。
計数計画は、実行するアクションプラン等を踏まえ根拠をもった実現可能性の高いものとします。
アクションプランは5W1Hを意識し具体的な内容とするほか、できるだけ数値目標を設定し計画と実績との対比ができるようにします。
⑦ 金融機関の同意
計画に対する取引金融機関の同意を得ることで経営改善計画の完成となります。
取引金融機関が多い場合等、各金融機関の方針が異なることもありますが、計画策定の途中で概要を説明しながら進めることでスムースに同意が得られるケースもあります。
以上が経営改善計画策定支援のおもなプロセスとなりますが、限られた期間内で実効性の高い計画を策定するためには、早い段階でできるだけ高い精度で全体像をイメージし、詳細なプロセス設計を行うこと、都度修正をかけながら策定支援を進めていくことが重要となります。
木下伸一